※一方で、去勢・避妊手術による次のようなリスクもあります。

・麻酔のリスク
・ストレスが減ることと、ホルモンバランスの変化により、太りやすくなります。
 →環境や食事の管理で対処できます。
・女の子ではまれにホルモン性尿失禁がでることがあります。

★『手術』であるがゆえ、不安や迷いが生じてしまうと思いますが、去勢・避妊に関してはリスクを上回る価値が十分にあると考えています。動物自身も本能的ストレスから解放されることで精神が安定し、より人間社会で暮らしやすくなるようです。


★手術について

 全身麻酔下にて行う手術はすべて
「完全予約制」となります。

※整形外科など、当院でお受けできない手術の場合は、提携病院、大学病院など、専門医をご紹介させていただきます。

★麻酔について

 麻酔は、不動化と無痛が必須の手術を行う上で欠かせないものですが、同時に、心拍数・体温の低下、呼吸数の減少など心肺機能をはじめ、正常な生体機能を大きく抑制してしまいます。また、覚醒(麻酔から醒めること)には、肝臓・腎臓などの代謝・排泄器官が正常に機能していることが求められます。身体に何か大きな異常があると、麻酔が命取りになってしまうこともあります。
 どのような手術であっても、どんなに健康な動物であっても、手術は体にとって、一時的とはいえ大きなストレスになります。術後に免疫バランスが崩れて風邪をひいてしまったり、隠れていた病気があらわになったり、持病が悪化したりすることもあります。

 そうしたリスクを少しでも軽減するために、当院では、手術に際し、次のようなことを行っています。

すべての手術において、術前検査をさせていただきます。
 血液検査により、貧血・脱水の有無や肝臓・腎臓機能はじめ内臓機能の異常がないか調べます。年齢や病態によってはレントゲン検査や超音波検査が必要になることもあります。

すべての手術において、適切な点滴処置を行います。
 多くの手術(麻酔)時には血圧が下がります。そのため、相対的循環血液量が減少し、ショックや臓器障害を引き起こしやすくなります。これを防止するために術前〜術後に静脈点滴、あるいは皮下点滴を行います。

すべての手術において、適切な鎮痛処置を行います。
 痛みは免疫機能を低下させ治癒を遅延させます。何より苦痛を伴います。動物は痛みに強い、と思われていますが、そうではなく、痛みに気づかれにくいのも事実です。

ワンちゃん・猫ちゃんのすべての手術において、気管チューブを挿管します。
 手術中に、過呼吸や呼吸数の低下などが起こると、酸素の供給量が減り(酸欠)、麻酔の不安定状態〜臓器障害などをひきおこすことがあります。これを防止し、すぐに人工呼吸に切り替えられるよう気管チューブを使用します。


 また、次のことにご協力ください。

適切なワクチン接種と、寄生虫予防
 手術に際し、入院が必要となります。病院という環境上、様々な感染症の動物たちが来院します。手術により免疫が低下すると感染症罹患のリスクも高まります。お預かりした動物たちは完全隔離にてそれぞれが接触しないよう管理させて頂いておりますが、それでも空気感染・飛沫感染などは避けられないことがあります。入院中に病気をもらってしまうことのないように、事前に(1年以内に)ワクチン接種を行っていることが望ましいです(避妊・去勢手術、歯石除去では必須)。
 
・・・去勢・避妊手術について・・・

★キンちゃんの去勢手術


      手術の時期と乳腺腫瘍の発生率
      < ワンちゃんの場合
初回発情前に手術  0.05%
1回目の発情後に手術   8 %
2回目の発情後に手術  26 %
(この場合、手術をしない場合と発生率が同じです)
     <ねこちゃんの場合>
1歳までに手術  14 %
2歳までに手術  89 %
(
これ以降での予防効果はありません)

<女の子で期待できる効果>

・発情期の煩わしさがなくなります。

・卵巣・子宮疾患、乳腺腫瘍など、女性ホルモンの影響で起こる病気を予防。
※乳腺腫瘍はワンちゃん、ねこちゃんに比較的多い腫瘍で、犬では約50%、猫では約90%が悪性と言われています。予防のためには、100%ではありませんが、早めの避妊手術で効果が期待できます。

♀

<男の子で期待できる効果>

・精巣腫瘍、前立腺肥大、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫など、男性ホルモンの影響でおこる病気を予防

・マウンティングや不適切な尿マーキング(あちこちにオシッコする、猫ちゃんなら尿スプレーなど)の軽減〜抑制、縄張り意識や性的ストレスによる攻撃性の軽減、など。
(※効果には個体差があります)

♂

 去勢・避妊手術には、望まない繁殖を防止するだけでなく、問題行動の改善、早期の手術であれば病気の予防効果が期待できます。当院からもおすすめしています。問題行動や病気の予防を考えると、早め(生後1年未満)の方がよいでしょう。

 手術は生後6か月位から可能です。事前にワクチン接種が完了していることが必要条件です。体調の良い時に行います(※女の子の場合、発情期は避けてください)。男の子は精巣を、女の子は卵巣や子宮を摘出します。全身麻酔下での手術になりますので完全予約制です。入院期間は原則、男の子(去勢)が半日(朝入院→夕方退院)、女の子(避妊)が1日
(朝入院→翌朝退院)となります。その後、抜糸まではおよそ10日間を要します(猫去勢は除く)。